誕生日に寄せて
演出家の宮本亞門さんが「10代の君へ、つらい時、原石生まれるかも」という見出しで語っておられた。(朝日新聞8月9日https://www.asahi.com/articles/DA3S14581144.html 朝日デジタルでも読める)「遅れちゃダメ」という流れに飲み込まれてしまうと、自分の中の原石を生み出すこともできないと、ご自分の一年間のひきこもりの経験からのメッセージであろう。コロナ感染症の拡大による移動の自粛やstay home等により自宅で過ごす時間が多くなっている今だからこそ、時間の制約から解放された自由な時間を楽しみたいものである。記事の最後に、宮本さんのオススメの本ということで「ブンナよ、木からおりてこい」(水上勉著)が紹介されていた。早速、書店に走り、購入。主人公のトノサマガエルのブンナになりきって一気に読んだ。作者が鳶(とび)の餌食となった登場人物(蛙や雀や百舌や蛇や鼠)に命の最終章で語らせる、その会話に、存分に共感することができた。ここでそのあらすじを語ることはできない。あらすじを読む本ではないのである。ぜひぜひ、「ブンナよ、木からおりてこい」を読んでいただきたい。私は○○歳の誕生日にこの本を読んだこと、この本に巡り合ったことは、私の宝である。
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