憲法記念日に寄せて
今日は5月3日「憲法記念日」である。内閣府のホームページを開けると、「日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期する」と示してある。1947年に施行された日本国憲法の三つの基本原理は「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」と義務教育を通して学んできたが、果たしてこれらの基本原理はこれからも持続可能であろうかと、昨今の世界情勢に目を向けながら不安な気持ちになっているのは私だけであろうか。新型コロナウイルスの蔓延は社会の弱さを露呈している。人間の社会的活動制限は経済的基盤をゆすぶり、社会的な不安感が広がっている。Stay Homeの呼びかけで、社会の最小単位である「家庭」にも何らかの問題が生じている。伝統的な家族形態から多様な家族の在り方へとシフトしている中でのStay Homeの呼びかけに、心理的圧迫を感じている子供たちや親たちがいることは確かであろう。果たして日本国憲法第11条「基本的人権の尊重」は、今の社会の危機的状況の中で、「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる」この権利は守られているであろうか。「人が生まれながらにもっている、人間らしく生きる権利」と「だれからも侵されることのない権利」は、すでに経済格差でぐらつきをみせていた社会に追い打ちをかけている。新型コロナウイルス封じによって経済的弱者はさらなる弱者へと追いやられている。国難に在っての国としての強さは「弱者をどれだけ救済することができるかである」と、どこかの記事で読んだ記憶があるが、憲法記念日のきょう、改めて、日本国憲法第11条「基本的人権の尊重」を諳んじてみた。 生涯学習「女性のための学びの広場」をスタートさせ、講座を準備してはいるが、私のこのプロジェクトも緊急事態宣言で動きが取れない状況である。この時間こそをと読書に充て英気を養っている。神谷美恵子『生きがいについて』の冒頭をご紹介したい。本当に弱い立場に置かれている人や子供や年老いた方々によりそってみる、「社会的想像力」は失いたくないものである。
「平穏無事なくらしにめぐまれている者にとっては思い浮かべることさえむつかしいかも知れないが、世のなかには、毎朝目がさめるとその目ざめるということがおそろしくてたまらないひとがあちこちにいる。ああ今日もまた一日を生きて行かなければならないのだという考えにうちのめされ、起き出す力も出て来ないひとたちである。耐えがたい苦しみや悲しみ、身の切られるような孤独とさびしさ、はてしもない虚無と倦怠。そうしたもののなかで、どうして生きて行かなければならないのだろうか、なんのために、と彼らはいくたびも自問せずにはいられない」
参考図書:神谷美恵子『生きがいについて』みすず書房
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