″グレタさん、メッセージ受け止めました″;国連気候行動サミット(ニューヨーク)の演説から

 Greta Thunbergさんの国連気候変動サミットでの演説は、世界中の注目を惹きつけたことであろう。私も、YouTube(PBS News Hour)のサイトで何度も繰り返し聴かせてもらい、今こそわれわれの英知が試される時が来たと痛感している。早速スピーチ原文(英語)をコピーした。実に説得力のある、歯切れのよいスピーチ内容に私も学ばせてもらっている。英語の授業で学生の皆さんに紹介するつもりである。〝How dare you!″とスピーチの冒頭で二回繰り返している。日本語にすると「よくもそんなことが言えるわ」であろうか。 “ dare” は助動詞で「よくも、大胆にも~できるわね」といった意味であるが。前回のブログでも書いているが、「情報を発信するのも社会を変える一つの方法であるかもしれないが、行動して見せることで、他者への影響力は確実なものとなるのではなかろうか」。 

 さて現在開催されている気候行動サミットで、日本には発言機会が設けられていない。なぜならば、ベルギーはすでに石炭火力発電所は稼働ゼロ、フランスは21年までに、スウェーデンは22年までに、英国は25年までに、デンマークやカナダ、ドイツなどは石炭火力発電所の廃止の方向へ、いわゆる「脱石炭」に舵を切っているが、わが国は約100基の石炭火力発電所か稼働中であり、これから22基が建設中であり、二酸化炭素の排出量削減という世界的喫緊の課題から遠のいている。日本では「ベースロード電源」として、原子力発電・火力発電・水力発電・地熱発電をあてているが、このような状況では、国連気候行動サミットで発言の場が与えられないのは当然のことである。さらに、二酸化炭素排出量は、中国、米国、インド、ロシアに次いで日本である。「脱石炭」社会への取り組みの遅れは、恥ずべき事態としか言いようがない。

  1997年に定められた「京都議定書」の後継として、2015年にパリで開かれた温室効果ガス削減に関する国際的取り決めを話し合う「国連気候変動枠組条約締約国会議(通称COP)」である「パリ協定」では、今世紀後半に温室効果ガスの排出を「実質ゼロ」にし、世界の平均気温の上昇を産業革命前の2度未満、できれば1.5度未満に抑えるとしているが、日本や米国のように消極的対策では、すでに1度上昇している気温の上昇を1.5度未満に抑えることはかなりの無理があることを、われわれは知るべきである。技術革新に期待して解決できる見通しは甘く、まさに待ったなしの方向転換が必要である。経済成長と持続可能な社会との折り合いを、技術革新に期待するのは、無責任であろう。 

 これからも続く人口増加(国連報告書によると、2050年には97億)、インド、アフリカなどの国々の生活水準の上昇、消費という無限の欲望、大量生産・大量廃棄等に「待った」をかけられない世界の状況、「経済成長=環境破壊」から抜け出せる道はあるのだろうか。できなければ、年ごとに迫りくる異常気象に、これからを担う若い世代、次の世代の苦難は明らかであろう。グレタさんのスピーチは次のように終わっている。 「あなたたち政治家は私たちを見捨てるのですか。若者はあなた方の裏切り(無策)を理解し始めています。これからの世代の視線はあなた方に向けられています。あなた方が私たちを見捨てる道を選ぶなら、私たちはあなたたちを許さない。もうあなた方は逃げられない。さあ、はっきりさせましょう。世界は目を覚ましています。変化の時が来ています。好むと好まざるとにかかわらず」。

  "You are failing us. But the young people are starting to understand your betrayal. The eyes of all future generations are upon you. And if you choose to fail us, I say: We will never forgive you. We will not let you get away with this. Right here, right now is where we draw the line. The world is waking up. And change is coming, whether you like it or not." 

https://www.npr.org/2019/09/23/763452863/transcript-greta-thunbergs-speech-at-the-u-n-climate-action-summit

英語&教養講座の生涯学習「まなびの広場」

ANAで勤務した後、結婚、子育てしながらの専業主婦から一念発起し英語の勉強を始めました。テンプル大学日本校の大学院で英語教育を修了した後、英国のエセックス大学大学院で社会学を修了しました。宮崎市に教室を開設しております。小学5・6年生、中・高生からシルバー世代まで対象の教室です。基礎英語から時事英語、社会を見る眼が養われる教養講座を開講しております。詳細はブログで随時紹介しております。

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