“Grit” 「情熱」と「やり抜く力」が人生を輝いたものにする!
“Grit” は、ペンシルベニア大学心理学教授Angela Duckworth(アンジェラ・ダックワース)の研究成果をまとめた書籍です。アンジェラは米国内では「天才賞」とも称されるマッカーサー賞を受賞した才媛であり、ホワイトハウスや世界銀行、NBA(米国プロバスケットボール)・NFL(アメリカンフットボールリーグ)や大企業への助言をしている、まさに天才的才能の持ち主です。ハーバード大学で神経生物学、オックスフォード大学で神経科学の修士を、ペンシルべニア大学で心理学の博士号を取得した1970年生まれの知的な美しい女性です。恵まれた才能のアンジェラが「人生のあらゆる成功を決める究極の能力は、やり抜く力である」と論理的に示しています。GRIT(ジーニアス英和大辞典によると、どんな苦難にも耐える気骨・根性)はアンジェラによれば、The Power of Passion and Perseveranceのことです。passionは情熱であり、perseveranceは困難に負けずに目的を成し遂げようとする継続的な力(オックスフォード現代英英辞典によれば、the quality of continuing to try to achieve a particular aim despite difficulties)です。少し“Grit”から抜粋してみます。
What we eventually accomplish may depend more on our passion and perseverance than on our innate talent. *preface xiv
「究極のところわれわれが何かを成し遂げることができるのは、生まれつきの才能というよりは、情熱とやり抜く力による」。 *accomplish 成し遂げる innate 生まれつきの talent 才能
“I’m going to grow up to love my work as much as you love yours. I won’t just have a job. I’ll have a calling. I’ll challenge myself every day. When I get knocked down, I’ll get back up. I may not be the smartest person in the room, but I’ll strive to be the grittiest”. *preface xv
「私は自分を愛するように自分の仕事を愛するようになっています。単に仕事があるというのではないんです。私にとっては天職ともいうべきものなのです。毎日が自分との挑戦です。私は打ちのめされても、立ち上がろうとします。私は家族の中でもっとも才能ある人間ではないかもしれませんが、もっとも粘り強く最後までやり抜く力を持った人間であるよう努力しています」。*strive to ~しようと努力する
アンジェラは仕事について三つの分類を示しています。
A job (I view my job as just a necessity of life, much like breathing or sleeping).
私はjobを呼吸や睡眠のような類のもので、生活に必要なものとみなしている。
A career (I view my job primarily as a stepping-stone to other jobs).
私はcareerを他の職業への飛び石、手段としてみなしている。
A calling (my work is one of the most important things in my life).
私はcallingを神から与えられた天職とみなしている。
アンジェラにとっての仕事はまさに神から与えられた天職:I won’t just have a job. I’ll have a calling. 「なんだか現実的ではない、自分の仕事が「天職」と言える人はほんの一握りよ」と揶揄したくなるかもしれませんが、だからこそご紹介したいと思いました。朝目が覚めて、仕事に行く(仕事をする)のが待ちきれない、義務感でもなく、必要に迫られてでもなく、そんな情熱を傾けられるcallingに到達できるかもしれないという希望は持ち続けたいものです。
私も正規・非正規雇用の仕事をいろいろ経験しながら現在に至っておりますが、生涯学習「女性のための学びの広場」の事務所を開設することにしました。地域社会への帰属意識やつながりが希薄化している現代社会において、同じ時間と場所を共有する社会関係構築の「場」は今後ますます必要となるであろうとおもいます。知識の流動性が加速し、膨大な情報量が発信されている現代社会において、高等教育機関とコミュニティセンターの「中間的学習形態」の場があったらいいなとの思いから。政治・経済・環境・倫理等の一般教養科目をコーヒー片手に共に学びながら、エネルギーがチャージされ、もっと元気になり、ひいては社会の活性化につながればとの思いからです。果たして財務的に持ちこたえられるであろうかと、不安でいっぱいですが、自分のこれまでの集大成の場だと、私にとってのcallingのような、毎朝目が覚めると気持ちの躍動を感じております。I get up every morning looking forward to work, I can’t wait to get on with my project. 英語で表現すると、このような心境です。
さて、生涯学習「女性のための学びの広場」は、ご紹介しておりますように、佐藤一斎の『言志四録』から頂いた句です。一斎は80歳を過ぎてなお『言志四録』の完成に向け執筆を続けたそうです。晩年に至ってなおダイナミックな生き方をしている偉人として、伊能忠敬(50歳の時に江戸に出て天文・暦学の勉強を始め、日本全国の測量にとりかかり、測量距離は約4万キロ、忠敬自身の旅行距離は3.5万キロであったと言われております)、浮世絵師、葛飾北斎(北斎が70歳を過ぎてからの作品、富嶽三十六景)、ノーベル賞受賞者の方々の粘り強い研究など枚挙にいとまがありません。今回のブログの締めくくりは、西田幾多郎が昭和14年69歳の頃に詠んだ歌(15回のブログで紹介しておりますが)にしたいと思います。
「ひはくれてみち遠けれどともかくも けふけふだけの なりはいはしつ」
「日は暮れた。そして途(みち)はまだ遠い。でもとにかく、今日は今日の業(なりわい)はしただろう。晩年になっても、西田はこのようにして常に自分を励ましていたそうです。
参考図書:Angela Duckworth “GRIT” Why passion and resilience are the secrets to success. Penguin Random House UK
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