学びのコラージュ
「女性のための学びのひろば」は、平成24(2012)年3月に個人的に始めた生涯学習講座です。生きるという営みのなかに少しだけ学問的エッセンスを含ませてみることで人生に躍動感が出てきているような気がしています。個人的な実感にすぎませんが、ブログを通して、ご一緒に「学びのひろば」にご参加いただければ幸いです。
さて、本日のタイトルのコラージュ(collage)ですが、語源はフランス語で「貼り付ける」という意味で、布や植物や写真などを使って作品にしていく絵画の技法です。私たちは一般的に義務教育を受け、さらに進学する場合もありますが、その後、就職したり家庭を持ったり子育てしたりと何らかの形で何かに向かって努力を重ねながら生きております。時には「何かやってみようかな」と新しいことをはじめていくと、そこから学びが幾重にも展開していくような気がします。英語かじってみたら世界の事情に関心が向いてみたり、理不尽な社会構造の要因は何だと新書を読んでみたりと、生涯学習はまさに「学びのコラージュ」のような気がします。
内田義彦著『社会認識の歩み』を粗読みしておりましたら、「他人と比較するな。つねに前日の自分と比較することを忘れるな。」とルソーの『エミール』を引き合いに言及しておられます。ルソーは人間を自己完成能力をもつ動物と考え、個人としても,種としても無限に発展していく能力を持つ点で他の動物と異なるものと考えていました。皮肉ですね。今の社会を見てみると動物が笑うような闘争と自然破壊の権化に変わっております。『エミール』は教育の古典とされており、ルソーがエミールという男の子を一人の自立した人間として育てていく仮想の教育指南書ですが、名誉や権力といった社会的評価で自分を測るのではなく、自分の価値基準(軸)を持った人間、他者への共感ができる人間を育てていく物語です。岩波文庫で出版されており私の手元にもありますが、しっかりと再読したいと思っております。遅まきながら始めた生涯学習のおかげで、あれもこれもと欲張ってやりたいことばかり。足が地についていない状況ですが、この世に享けし持ち時間は有限です。生涯学習の醍醐味はここにあるような気がします。
本日の参考図書:内田義彦著『社会認識の歩み』岩波新書 ルソー著『エミール』岩波文庫
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