「フェア」ってどんな意味?:フェアプレイ フェアトレード 就職フェア

「フェアプレイ」 「フェアトレード」 「就職フェア」など、フェアの付く言葉はよく耳にしますが、いったいどんな意味があるのでしょう。

フェアの英語表記は"fair"です。ここでの"fair"には二つの意味があります。公正で規則に従ってプレイする「フェアプレイ」、公正で適正な貿易である「フェアトレード」、そして「就職フェア」のフェアは博覧会や見本市、定期市などを意味するのでいわば「企業説明会」でしょうか。今回は「フェアトレード」について考えてみたいと思います。

私たちの生活はたくさんの国々や地域からやって来たいろいろな商品や製品に囲まれています。まさに経済活動が地球規模で進行していることが分かります。おかげで、日本に居ながらにして多様な食文化を楽しんだり、外国の製品を買い求めたりすることができるようになりました。中でもコーヒーはすっかり私たちの日常生活に溶け込んでいます。

コーヒーは赤道を挟んでの南北25度のコーヒーベルト地帯で主に生産されています。エチオピア、ケニア、タンザニア、ベトナム、コロンビア、ブラジルなど、これらの国々ではコーヒー豆の生産は貴重な輸出品目として経済を支えています。その一方で主な輸入国は欧米を中心とした経済の先進国であるわれわれが主な消費者となっています。コーヒー豆の生産国の年間一人当たりのGDPを見てみると、エチオピアではおよそ11万円、ケニアでは21万円、日本の場合はおよそ460万円と生産国は消費国の数十分の一程度と非常に低いのが現状です。これには様々な要因がありますが、コーヒー豆の価格が気候変動の影響を受けやすい、大企業による一括買い付けで生産者が価格決定に加わることができない、生産国はひたすら生産に特化し付加価値をつけて輸出できないなど、生産者にとって不利益なことが多いことが考えられます。

「フェアトレード」は"fair"(公正な)と"trade"(貿易)を意味しますが、「公正な貿易」とは一体どのようなことでしょうか。開発途上国のコーヒー農家の貧困はよく取り上げられています。子供の教育費にも困っているという現状が報告されています。この貿易の不均衡を少しでも是正していくための取り組みの一つが「フェアトレード」です。「公正な貿易」とは生産者や労働者の権利を守ろうとする精神に根ざした貿易を目指した経済活動です。貿易を単なる商品や製品の交換ではなく、生産者と消費者のよき社会的関係として考え、生産者の生活を支援することに重きを置きます。そのためには適正価格で商品(コーヒー豆やカカオなど)の買い付けを行い、消費者は適正価格で商品を購入することが必要になります。このため商品価格は市場の競争によって決定される商品価格より高くなりますので、私たち消費者には、「買い物をしながらの社会貢献」といった消費者意識が必要になるかもしれません。

2000年にイギリス北部の小さな町ガースタングではじまった「フェアトレードタウン運動」は世界中に広がり、今では世界三十か国以上の国々に広がり、現在では2000を超えるフェアトレードタウンが誕生しています。イギリスでは631都市、次いでドイツが520都市と欧州がフェアトレードを先導しています。日本では2011年に熊本市が初のフェアトレードタウンとして誕生して以来現在では札幌市などを含む6都市が参加しています。市場規模においても日本はイギリスのおよそ二十分の一、一人当たりの年間購入金額ではスウェーデンがおよそ4700円、イギリスは3700円、日本は90円程度とフェアトレードが社会にあまり浸透していないことが分かります。

「誰も置き去りにしない社会」を目指した持続可能な社会の実現のためにも、私たち消費者が生産国の人々に思いをはせてみることで、世界の実情に関心を持つきっかけづくりになるような気がします。「より公正な貿易」が少しづつ広まっていくことで不均衡な貿易のシステムから疎外された生産者や労働者の生活が今より向上していけばと思います。









英語&教養講座の生涯学習「まなびの広場」

ANAで勤務した後、結婚、子育てしながらの専業主婦から一念発起し英語の勉強を始めました。テンプル大学日本校の大学院で英語教育を修了した後、英国のエセックス大学大学院で社会学を修了しました。宮崎市に教室を開設しております。小学5・6年生、中・高生からシルバー世代まで対象の教室です。基礎英語から時事英語、社会を見る眼が養われる教養講座を開講しております。詳細はブログで随時紹介しております。

0コメント

  • 1000 / 1000