『動物農場』からの教訓と、真の民主主義を求めて
アメリカの大統領選挙もジョー・バイデン氏と副大統領候補のカマラ・ハリスの勝利スピーチで幕を閉じようとしています。アメリカと言えば、英国からの植民者であるピューリタンの建国理念が思い出されます。当時のピューリタンの指導者であったジョン・ウインスロップが提唱した「丘の上の町」(city upon a hill)を建国するという、アメリカ例外主義でありますが。他の世界から目が注がれ、アメリカは全世界のモデルになるのだという「丘の上の町」の建国理念の歴史です。「民主主義を植え付けるために」「民主主義を守るために」「民主主義を広めるために」と戦争に介入してきたアメリカですが、人種、性別、宗教、職種に関係のない、本来の意味での、多様な国家、アメリカの誕生を期待したいものです。
"Smart English" Day 4では、バイデン氏とハリス氏の勝利スピーチの一節をご紹介させていただきます。
バイデン氏のこの一節は何度も声にしてみたいと思います。
"To lower the temperature. To see each other again. To listen to each other again. To make progress, we must stop treating our opponents as our enemy. We are not enemies. We are Americans. The Bible tells us that to everything there is a season — a time to build, a time to reap, a time to sow. And a time to heal. This is the time to heal in America."
*To lower the temperature 熱を下げるために(トランプ陣営とバイデン陣営に分断されていた熱を冷ましましょう)To make progress 前進するために we must stop treating our opponents as our enemy *opponents:敵対する人々 enemy:敵 reap:収穫する sow:種をまく heal:癒す
「落ち着きを取り戻して、お互いを見て、お互いのいうことに耳を傾けてください。(アメリカが)前に進むためには、私たちは意見の異なった人々を敵とみなすのを止めなければなりません。私たちは敵同士ではありません。私たちは同じアメリカ人です。聖書の言葉にあります;すべてには時期というものがある。育てる時、刈り入れをする時、種をまくとき、癒すとき。アメリカは今、癒す時です」
次に、ハリス氏の一節です。同じ女性として大いに共感してしまいます。
"while I may be the first woman in this office, I won't be the last. Because every little girl watching tonight sees that this is a country of possibilities." *possibilities:可能性 regardless of 性別に関係なく「私はホワイトハウスで女性で一番初めの副大統領になると思いますが、私で最後になって欲しくはありません。今宵におきているアメリカの状況を見ているアメリカ中の女の子たちが、この国は可能性に満ちた国だと理解するでしょう」
先日『動物農場』(ジョージ・オーウェル 1940年頃の作品)を一気に読みました。主人公は「ブタのナポレオン」です。農場の他の動物たちをじわりじわりと支配しながら独裁的なブタ農場をつくっていくというお話です。権力の横暴がジワジワと進んで行くことに、何かおかしいと思って声をあげようとするけれど、ヒツジたちの大声に負けて何も言えない動物たち、勇気を奮って真実を伝えることができない弱腰のロバ、明日を信じてナポレオンの下で一生懸命に働く馬など、抗議の声をあげることもできずに、権力の横暴を招いてしまう「動物農場」は、今の時代にあっての必読の書だと思います。動物農場七戒の最後は「すべての動物は平等である」ですが、最後には「すべての動物は平等である。だが一部の動物は他よりもっと平等である」が付け加えられてしまうのです。それを避けるためには動物たちが、どの段階で何をすべきだったのか、考えさせられます。
参考図書:『動物農場』早川書房
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