「若き日に心の糧となる種をまいてほしい」自分の若き日の反省を込めながら
中・高生がスマホやゲームに費やす時間が一日当たり数時間というようなことを耳にしますが(当然のことながら個人差はありましょうが)、残念なことだと思っております。これはある程度の年齢に差し掛かった身になったからこそ思うことですが、スマホやゲーム以外にも心躍る経験があるということに気づいて欲しいなあと思います。
間もなく書展が開催されます。恥ずかしながら私の作品も出品させて頂きます。「高貴さは自らに課す要求と義務の多寡によって計られる」を書きました。スペインの哲学者であるオルテガの『大衆の反逆』(1930年刊行)からの言葉です。以前にもご紹介しておりますが、 オルテガは『大衆の反逆』の中で「物質的文明の豊かさを享受できる大衆」が社会の中枢に躍り出てきた時代にあって、なぜ人々はいともたやすく全体主義になびき、果ては第二次世界大戦へと悲惨な道をたどったのであろうかと、そこには「大衆に共通の性質」があったのではなかろうかと指摘しております。自問を通して、資質のない凡庸な自分を感じた大衆ではなく、自分に対してなんらの特別な要求を持たず、自己完成への努力をしない浮標のような人々、もう少し踏み込んでいえば、民主主義における自己の役割を知らない大衆の登場を嘆いていると思われます。 今日のように社会的課題が山積している時代だからこそ、オルテガの言葉は響いてくるような気がします。
さて、書展に向けての準備作業がありました。自分の作品を表装しました。霧吹きで湿らせたり、糊付けをしたりしながらの作業です。全くの未知の世界を体験させていただくことができました。実に楽しい作業に、「もっといろんなことを若いうちに体験したかったなあ」と、スマホやゲームもいいけれど、少し離れて社会の面白さに気づいて欲しいなあと、中・高生を応援したくなりました。オルテガの言葉を添えて。
さて、今日の"Smart English"は三日目になります。アメリカでは大統領選挙での投票の仕方をめぐってトランプ現大統領が選挙結果を受け入れない状況になっております。直接投票、郵便投票、さて時代は進んでいます、電子投票へと移行していくのでしょうか。エストニア(フィンランドとバルト海を挟んでお向かいの国です)はIT先進国で有名です。もちろん、ハンコも書類もない国です。子供が誕生してからおよそ10分後にはID番号がもらえるそうです。納税から選挙、医療もすべて電子化されているそうです。ブロックチェーンという分散型のシステムが使われていて、セキュリティも万全とのこと。コスト面でも2%の経費削減になっているとのことです。
Day 3 "How Estonia has been a lone trailblazer?"から少しご紹介します。「エストニアはどうしてただ一国の(電子投票の)先駆者なの?」*trailblazer: the first person to do something 草分け 先駆者 *trail: 通った跡 *blaze 他に先じて着手する *trailblazer:道を切り開く人
The tried-and-tested paper ballot is not foolproof. 「何の問題もない確固とした筋金入りの投票用紙は簡単ではない」*tried(試して)tested(試験済の、信頼できる)ballot (投票、投票用紙 投票制度)*foolproof: very well designed and easy to use うまく工夫されていて確実である
セキュリティ面や視覚に障害がある人、コンピューター操作が苦手な人など様々なことを考慮に入れた完全無欠な電子投票の日が訪れるのはまだ先のことかもしれません。投票結果に疑義を抱いている現職のトランプ大統領ですが、"Don't muddy the waters!" 「問題をこじれさせないで!」*muddy the waters: 事態を混乱させる muddyには泥だらの、泥のようなという形容詞があります。今でも数十年前にアメリカで食べたmuddy cakeが思い出されます。なんと大きな、まるで本当に泥を固めたようなチョコレートケーキでした。
民主主義を掲げて建国したアメリカ、民主主義を世界に広めると 戦ってきたきたアメリカに民主主義が戻ってきますようにとの願いを込めて、明日に続く.........
参考資料:孫泰蔵(監修)小島健志(著)『ブロックチェーン、AIで先を行くエストニアで見つけたつまらなくない未来』*孫泰蔵氏は孫正義氏の弟さんです。
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