ちっとも「コスパがいい!」とは言えませんが、理想を求めての生涯学習講座

よく耳にする「コスパがいい」であるが、個人的にしっくりこないところがある。「○○のレストランはコスパがいいのでオススメ、デザートまでついてくるから」「○○のTシャツは50回洗っても色落ちなしでコスパがいい」「○○英会話教室は5000円チケットでひと月に何回でも英会話してくれるからコスパがいい」などなどであるが。コスパとはコスト・パフォーマンスの略語で、「費用対効果がいい」ということであるらしい。実際の支払いよりも期待値以上の価値を得られるとなれば、それに越したことはないが。しかし、なんだか多くのことが市場価値で計られているようで私には居心地がよくない。

さて、これからの社会を考えた時、コスパ第一主義では社会に山積している地球規模的課題は解決できないであろうと思う。「2050年までには二酸化炭素の排出ゼロ社会」を目指すのであれば、大量生産・大量消費・使い捨てのコスパのいい消費スタイルからの乖離が必要であろう。投入した時間・労働・努力・資源に見合った成果は、不便益を伴ったものになるかもしれない。なるべく車ではなく自転車や歩きに変えてみたり、ベランダ菜園で賄ってみたり、ティッシュペーパーからハンドタオルに変えてみたりなど、小さなところから生活を見直していかなければ、コスト(時間・労力の犠牲)パフォーマンス(偉業)は実現しないであろう。コスト(費用)パフォーマンス(収益率・効果)からの意味の転換が必要であろう。

便利さと物質的豊かさに溢れた社会ではあるが、米国では巨大食肉産業が巨大な工場で豚や鶏を飼育管理し、処理している(米国ばかりでなく、ブラジル、中国など多くの国でもそうであろうと思われるが)。雌豚が育ち、人工授精から分娩、子豚の飼育をへて処理されるまでの20ヵ月の周期で生産計画に従いながらの一連の生産ラインは、もはや畜産ではなく工場生産といえるであろう。米国における今回のコロナ危機は従業員の感染拡大を引き起こし、この供給網がストップしたそうである。行き場のなくなった子豚はこれまでに100万頭が安楽死との推計であるらしい。コスパのいい食肉供給網によって比較的安価で食することができる豚肉であるが、食の上流を想像してみることは必要であろう。

成人における生涯学習は「学ぶことは最高のエンターテイメント」と個人的理想を掲げて、生涯学習講座「女性のための学びの広場」をスタートさせてはいるが、今流の「コスパがいい」とはいかないが、コスト(投入した時間・労力)がパフォーマンス(偉業とまではいかずとも)になり、精神的ゆたかさを享受できればと思っている。この輪が広がりますようにの願いを込めて。

参考資料:朝日新聞 2020年 10月29日付け 「けいざい+」寡占進む食肉供給網(3)



英語&教養講座の生涯学習「まなびの広場」

ANAで勤務した後、結婚、子育てしながらの専業主婦から一念発起し英語の勉強を始めました。テンプル大学日本校の大学院で英語教育を修了した後、英国のエセックス大学大学院で社会学を修了しました。宮崎市に教室を開設しております。小学5・6年生、中・高生からシルバー世代まで対象の教室です。基礎英語から時事英語、社会を見る眼が養われる教養講座を開講しております。詳細はブログで随時紹介しております。

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