自分のために楽しむ生涯学習:脅威のロビンフッター現象
米国ゲームソフト小売り大手販売店の「ゲームストップ」の株価がここ一か月でおよそ18ドルから500ドルに迫るまでに高騰したが、数日後には80%超の暴落となった。スタンフォード大学の二人の学生によって2013年に創設された投資アプリである「ロビンフット」を使って、手元資金が少なくても利用できる金融サービスということで、いわゆる、1980年以降に生まれたミレニアム世代が利用しているとのこと。株式投資で巨額の富を手にしている機関投資家や富裕層が利用するヘッジファンド(ハイリスク・ハイリターン)に、SNSなどでつながった個人(個人投資家)が一つの塊になって「ゲームストップ」の株の「買い」で対抗し、ヘッジファンドが巨額損失を出したという金融を舞台にした出来事である。ロビンフッドは低資金で誰もが利用できるようにと、金融の民主化が目的で設立されたそうであるが、証券取引の経験のない若い世代がゲーム感覚で「ワンクリック」するだけで株式を売買するというこの状況を生み出した。カードでの購入やスマホ決済などのデジタル化の推進、労働の対価としての収入という貨幣に対する価値感の希薄化、ネット上でマネー操作をするマネーのゲーム感覚化が一体となってこのような現象を引き起こしているのではなかろうか。そして、この社会背景には、一部の富裕層と所得の上昇が見込めそうもない人々の間にある経済格差への苛立ちが存在しているのであろう。詳しくは説明できないが、ヘッジファンドが「ゲームストップ」株の下落を見越して証券会社から株の前借をして売りに出し(例えば500円で100株借りる)、売りが多くなると当然株価は下がるであろうから、下がったある時点で買い戻す(300円になっている時点で100株買い戻せば5万円で売った株が3万円で買い戻せるので2万円の儲けが出る)いわゆる「空売り」を察知した、個人投資家の反撃であったとのこと。「金融の民主化」を目的にしたロビンフッドのアプリが巻き起こした騒動である。「小魚の群体がマグロを追い返すスイミーや、一斉に畑に上陸して作物を食い荒らすイナゴのような、個々の顔が判然としない群体としての仕手筋ともいうべき市場参加者たちが、今回のゲームストップ相場を作り上げた」と、古田氏(オコスモ代表)は述べている。SNSを通して民主化運動がおこったり、株式操作がなされたり、フェイクニュースが流布したり、現実(リアルな社会)からネット社会への移行は問題含みである。これからを担う若い世代の人には鋭い倫理感と、思考する力が求められると思う。
参考資料:ITメディアビジネスサイトhttps://www.itmedia.co.jp/business/articles/2102/04/news109_2.html
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